その土地の「生命力」を
鮮烈に伝えることが自分の使命

erba da nakahigashi:
中東俊文
CATEGORY:
イタリアン

京都の名店、「草喰(そうじき)なかひがし」の店主を父に持ち、兄弟、親戚も和食の料理人。そんな環境にありながら、イタリア料理の道を選んだ中東俊文氏が追求するのは「土地の生命力」を伝える料理。生産者との架け橋になりつつ、地産地消やスローフードを真摯に体現するスタイルを大切にしています。

和食の料理人一家から
イタリアンを目指した個性派

「僕ね、子どもの頃からちょっと変わっていたんですよ(笑)」。穏やかな口調でさらりと話す、中東俊文氏。日本料理の名店に生まれ育ち、そのまま順調に行けば自身も和食の料理人になったであろう中東少年の運命を変えたのは、13歳の時に家族で訪れた京都御所近くのイタリア料理レストラン「カーサビアンカ」でした。
「イタリア料理って、なんておいしいんだ! と、まさに衝撃的を受けました」と中東氏。それがきっかけとなって、イタリア料理人を目指し18歳で単身渡伊。トスカーナ地方のミシュラン星付レストランなどで修業を積みます。その時に強く感じたのが、土地の生命力を持った素材の魅力でした。

「子どもの頃、上賀茂からリヤカーで野菜を売りに来るおばさんがいました。うちの父も含め、家族全員がその野菜を大好きで食べていたのですが、中学・高校時代になると、同じ野菜なのに味が変わった気がしておいしく感じなくなり、それが原因で野菜嫌いにもなってしまったのです。イタリアに行って普通にスーパーで売っている野菜を食べ、地元の生産者から野菜を仕入れて調理したとき、その理由が分かりました。土の力強さが生み出す味や香りがストレートに感じられる野菜は、シンプルにおいしかった。野菜の種類は違っても、子どもの頃に味わったおいしさと同じものを感じました。その力強さを感じられなくなったことが、『味が変わった』と感じた理由だったのです。」

素材の持ち味をダイレクトに伝えるイタリア料理の魅力を感じたと同時に、「日本の野菜はこれからどうなってしまうのか」という危機感も持ったという中東氏。帰国後、父の久雄さんにその想いを話したところ、まったく同じように考えていることが分かりました。久雄さんが地元の生産者との関係を何より大切にし、厳選した素材を仕入れていたことを知り、イタリア料理人として自分もその想いを受け継いでいこうと心に決めたそうです。

父のDNAを受け継ぎつつ
現代のイタリア料理を極める

そんな、中東氏の想いを受けて2016年に、東京・西麻布にオープンした「erba da nakahigashi(エルバ ダ ナカヒガシ)」。エルバはイタリア語で“草”の意で、父の店「草喰」に敬意を表して名付けられました。

生まれ育った京都ではなく、なぜあえて東京でレストランを手がけたのか?
素朴な疑問に対して、中東氏はこう答えます。

「東京は世界でも有数の美食の街。どんな高級素材でも手に入りますが、東京ならではの良い素材があることはまだまだ知られていない。地産地消やスローフード、フードマイレージ、健康。そんな食のキーワードが巷では飛び交っていますが、それを体現してお客様に分かりやすく、おいしい料理として伝えていくことが、これから料理人が担っていくべき仕事。世界中から人が集まってくる注目の場所でもある東京で、多くのお客様にこの想いを感じていただけたらと思ったのです。」

同店の料理は、伝統的なイタリア料理をベースにしていますが、アプローチはモダンでヘルシー。どの皿にも新鮮でみずみずしい野菜やハーブがたっぷりと使われており、和皿やコルク素材など個性的でナチュラル感のある器使いも特徴です。
これらの野菜のほとんどは、東京・あきる野市や八王子市、西東京市で育てられたもの。地元の農家に直接仕入れに行ったり、畑を借りて店のスタッフとともに野菜やハーブを育てたりしており、お客様と一緒に植え付けや収穫を行うイベントなども開催しています。

みずみずしい野菜、ハーブを
使った躍動感のある皿が魅力

スペシャリテでもある「秋川の天然鮎塩焼き、“ボリジ”の清流と“四川花椒菜”の清涼」は、奥多摩の秋川渓谷で捕れる天然鮎を炭火で香ばしく焼き上げ、ボリジの葉と花をオリーブオイルと合わせて乳化させたソースを鮎が泳ぐ清流に見立てて盛り付けた一品。伝統的な流水紋を描いた印象的な皿に盛ることで、新鮮な鮎が生きているような躍動感が伝わります。

天然鮎は、その青っぽい風味がキュウリと似た風味のボリジと相性抜群。ソースのほかマイクロハーブの「ボリジ」を散らすことで、よりフレッシュな風味が加わります。また、「四川花椒菜」は、タデ酢のピリッとした刺激を思い起こさせる効果があるそう。

「普段使っているハーブは、形も大きさも不揃いで味もワイルド(笑)。それをベースにしつつ、『マイクロハーブ』をアクセントに使うことで、重層感が出てより洗練された皿に仕上げることができます。」

「スッポンのブータンノアール“ロックチャイブ”のネギ畑、“パクチー”」は、珍しいスッポンのブーダンノアールを、「ロックチャイブ」でネギ畑のような盛り付けに仕立て刺激的なアクセントを生み出し、「パクチー」の甘い風味でやさしい後味を加えました。
また、「太刀魚と“クレイジーピー”、初春の土の目覚め、“アマランサス”」は、イタリア料理では定番の組み合わせである、太刀魚とえんどう豆、ナッツの組み合わせをモダンに仕立てた一品。枯野から青々としたえんどう豆が芽吹く様子を、「クレイジーピー」、「アマランサス」のコントラストで表現しています。
旬の素材の味わいを、さらに生き生きと彩ってくれる「マイクロハーブ」のアクセント。躍動感にあふれた中東氏の数々の料理を口にすると、東京という土地の力強さに改めて気付かされます。

#01 スッポンのブーダンノアール“ロックチャイブ”のネギ畑、“パクチー”
スッポンの雄、雌1匹ずつを使い、すべての部位、エキスを凝縮した贅沢なブーダンノアール。通常はニンニクの花を組み合わせますが、今回は風味の似ている「ロックチャイブ」をオリーブとパン粉で作った“土”に植えて「パクチー」を散らし、ネギ畑のイメージで盛り付けました。「ロックチャイブ」のほどよい刺激と、「パクチー」の甘みがブーダンノアールの重層感のあるうま味を引き立てます。
#02 太刀魚と“クレイジーピー”、初春の土の目覚め、“アマランサス”
“太刀魚と豆”をテーマに、冬を越して枯れた野から力強く芽吹く初春の自然の恵みを表現したひと皿。太刀魚と、ナッツ、豆類との相性の良さにフォーカスし、「クレイジーピー」、ピスタチオを甘味と香ばしさを加える素材として利用。また、畑の色をイメージしてほのかな土の香りが特徴の「アマランサス」を散らしています。
#03 秋川の天然鮎塩焼き、“ボリジ”の清流と“四川花椒菜”の清涼
伝統的な絵柄である流水紋の器に、“清流を泳いでいるような姿で”盛り付けられた、東京・秋川渓谷の鮎の炭火焼き。鮎と共通する青っぽい香りを持ったボリジの花とオリーブオイルを乳化させてソースとすることで、さっぱりとしたキレの良い味わいを作り、タデ酢のピリッとした風味をイメージして「四川花椒菜」を添えています。
PROFILE :
中東俊文
TOSHIFUMI NAKAHIGASHI
1982年京都府生まれ。実家は京都の名店「草喰(そうじき)なかひがし」。父をはじめ料理人一家だったことから、幼少から料理に親しむ。自身はイタリア料理を志し18歳で単身渡伊。トスカーナ「アルノルフォ・レストラン」をはじめミシュラン星付きレストランで経験を積む。帰国後、大阪の「セントレジスホテル大阪」で料理長を務めた後、2016年に現店のシェフとなる。
URL : https://www.erbadanakahigashi.com

料理の表現の可能性を広げ、 新たなストーリーを生み出す「村上農園のスペシャリテ」。
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“Micro Herbs”; ingredients to stimulate the creativity of chefs.
While small, each leaf with their individual shape, color, and
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